会報「檜」バックナンバー
平成17年 文月 第12号
フィレンツェとヨハネ祭 | 『美しい言葉の響きに魅せられて』 | お知らせ | 訃報
フィレンツェとヨハネ祭 花柳 双喜美
平成17年6月30日

この度京都市とイタリアのフィレンツェ市との40周年友好記念文化祭が開催されました。

最初お聞きした時点では、多くの方が参加されツアーも組まれる予定だったようです。フィレンツェの受け入れの態勢がなかなか決まらず、1か月前に決定という慌しいものとなりました。急のことで他の芸能関係の方々も無理という状態で、京都市からどうしても参加して欲しいというご要望でした。市長さんの予定が決まらず私だけの旅程を組み一人旅となった次第です。

世界遺産の多くあるフィレンツェは以前より魅力ある街だとは思っていましたが、その街で只一人舞うことになるとは予想もしませんでした。外国特にヨーロッパなどの素晴らしいと思いますところは、宮殿やミュージアムが市庁舎だというところが良いですね。文化芸術と行政が一緒だというのは、私達日本人にはとても羨ましい限りです。国民が自分たちの国の文化を誇りとされているのが、とても素敵に思います。

前日24日は市長表敬訪問に同行させていただきました。 6月25日の祭典は市庁舎である、ヴェッキオ宮殿で開催され、ローマより裏千家のお茶の方のお前が披露された後、広い宮殿でのびのびと舞わせていただきました。足元は大理石です。後ろには大きなミケランジェロの彫刻。照明も音響もちゃんと聞いて実行してくださいました。あと雅楽の方々の演奏がありました。「 輪音会」というメンバーの方達です。両市長からも「 舞い」を大変喜んで頂きともかくは任務が終わりほっと一段落いたしました。 外国で舞う場合は日本と格合が違うので、すんなりいけたときはほっと致します、今回の様に私一人で全部任され責任をもたなくては、という様な場合はあまりこだわらない性格でないと無理でしょう。まして個人主義のヨーロッパでは自分しかないと思って行動しなければ、、、。

この厳しいスケジュールの中で大変感激しましたのが、ヨハネ祭でした。ドオゥモ大聖堂で行われたキリストの大祭は本当に圧巻でした。この時初めてフィレンツェに来て良かったと思いました。いつも誰もがめぐり合えることではないこの時に、参列できる喜びをしっかり感じました。大司教の聖書を読まれる朗々とした声が今も耳に残っています。30度以上の暑さのなか約2時間ほどの間、額の汗を何度かぬぐいながらオペラ歌手のような良く通るお声で読まれる姿は、身体の中にしみわたる様な気持ちで私達は直立不動となっておりました。世界の平和と人々の幸せを願う祭典でした。

アクシデントに遭いましたが、もう一度ゆっくり尋ねてみたい所です。

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美しい言葉の響きに魅せられて 今井友子

帰宅すると家族の夕食づくりをすませ、学習の為に睡眠を削り、一年で三年分生きた心地です。忙しいという言葉は、時間の使い方が下手だというようで使いたくありませんが、昨年から今年にかけて、本当に忙しすぎて心を失い、一つに集中しなかったことが、今回の舞台の大きな反省点です。

受験勉強というのは、もう一度大学において国文学を専攻し、源氏物語を学問と芸術の両面から極めたいと思ったからです。『 読書百編、義、自ら見る』という諺がありますが、舞台実現までに5年の歳月が流れ、その間、同じ箇所を何度も声に出して読んでいますと、難しい古語がある日突然、その意味を身体で感じることが幾度もありました。これは朗読の面白味の極みで、言葉から体感したことを、学術的に裏付けたいと思うようになってきました。

それならば、一年でも早いほうが良いと思い、平安文学は当然京都の地において学ぼうと決めました。高校時代、国文学は、かび臭いようなイメージをもち進路からはずした経緯があるので、人生解らないものです。10年前、湖東町に開局したCATVに再びアナウンサーとして勤務し、その繋がりで今回の舞台を企画・運営することができましたので、職場をはなれることは、大変寂しいことですが、これまでの積み重ねや反省を生かして、語りの道に専念したいと思います。

新人アナウンサー時代から、24年間御指導頂いている元NHK飛田薫アナウンサーは、『 100回の練習より一回の舞台』と励ましを頂き、母校の元校長は、高校・大学で国文学の教鞭をとられた方で、男の自分が出来なかった源氏の語りを続けるようにと、嬉しいお手紙を頂きました。これからの課題は、源氏の語りは、京の都で生まれたものであることを念頭において、発音をどの時代までさかのぼるかということです。

平安式アクセントは、金田一春彦先生が、女優の関弘子さんに再現させた、すばらしい音声表現がありますが、面白いのですが難解です。東京アクセントの古語の朗読CDが、何人かの方により出ていますが、関西人には、鎌倉幕府以降の武家社会の物語に聞こえてしまいます。京ことばの源氏物語は、雰囲気がよく解りやすい現代語訳ですが、原文の格調高さには劣ります。言葉の表現は、奥深く面白い課題です。

この秋には、朗読教室の小さな会を開きますが、『夕顔の巻』を、大西一叡先生の一弦琴のお力添えを頂き、地の語りは共通アクセントで、セリフの部分は関西アクセントで語ります。夕顔の、ものの哀れが表現出来るよう、30代から80才の10人が、場面ごとにわけて練習中です。日本が世界に誇る、最古の長編物語『 源氏物語』54帖を原典を十二分に理解を深め、朗読表現出来るようになるためには、長い道程となりますが、生涯かけての目標に出会えたことは幸福なことです。湖東町ゆかりの第1次南極越冬隊長 西堀栄三郎の『行動し続ければ、必ず夢は、現実となる』という語録を実感した一年でした。これからも、次の夢に向かって健康に留意し歩み続けたいと思います。檜の会の大先輩の皆様には、今後も多方面において、ご指導を賜りたく宜しくお願い申しあげます。取り留めのない文で、お許し下さい。

湖東コニュニティネットワーク アナウンサー          YMCA朗読教室講師 今井友子

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お知らせ
郡上八幡をどり  8月21日(日)・22日(月)
吉野を歩く
講師 帝塚山大学 脇谷英勝
10月9日(日)もしくは16日(日)詳細は追ってご案内申します。
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訃報

NPO法人檜の会顧問 江里宗平先生 5月16日満96歳でご逝去さ れました。ご冥福をお祈りいたします。 西堀茂平氏ご母堂の逝去につき「檜の会」より供花を送らせていただきました。

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