今や斯界の第一人者として活躍する近藤富士金さんが、従来は彩管を揮う絵師達の脇役的存在として、襖や屏風の金地づくりが主流であつた作業を、美術工芸の域に高めるべく試行錯誤しながら創案したのが鎮金箔技法である。
素材の表面に転写された意匠は、樹脂を用いた工程を繰り返すことで、堆朱などの彫漆文に似た立体感のある意匠を表出することになるが、これに金箔が施されて完成に至る。
金箔は自らの重みで図様面に鎮むのが特徴。仕上がりの段階では金箔の継ぎ目や雛もなく、凸凹面によって生じる反射光が黄金特有の光彩を放つことになる。近年の作品では、これにプラチナ箔を併用、図様の際立った力強い作品をつくり出している |